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JR北海道の赤字が凄まじいので代案考えてみた

 20代のひところ、北海道の寒村に住んでいたのでどうしても北海道系のニュースは気になってしまう性分です。本日、気になったのはこのニュース。
 色々調べてみたら切なくなってきて、その後、熱くなってきたのでここに記録しておきます。。。

headlines.yahoo.co.jp

❖ニュースの要点
  • JR北海道が29日行った記者会見で事業の見直しについて言及した。
  • 秋までに単独で維持困難な線区を公表し、地元自治体との協議に入る。
  • 具体的には輸送密度2000人未満の線区が対象で、11路線16区間が該当する。
  • 背景として安全対策費や修繕費がかさんだ結果、2017年3月期の経常損益は175億円に達する見通しである事などが指摘されている。
  • こうした赤字と長期借入金が2019年には借入残高が1500億円に達する。
  • 自治体との協議を通じて、バス転換、減便、運賃引き上げ、施設と運行を分ける上下分離方式などのオプションを線区ごとに詰めていく予定。

 こうしたJR北海道の方針に対して、地元、北海道新聞の社説は「廃止ありきの協議は許さないぞーっ」という論調です。

dd.hokkaido-np.co.jp

  ま、新聞の社説なんてどこもこんな調子なのかもしれませんし、社説なので新聞社が自らの意志をストレートに書き綴ってOKな訳ですが、

積雪寒冷地の北海道は、冬道で危険が生じやすい。鉄路を含む交通網を支える施策を求めたい。

とか。

 知っとるわ、冬が寒くて危ないとか。。。

 私、別にJR北海道には何の思いいれも無いですし、トラブル続きのJR北海道を擁護する気も1ビットも無いのですが、人口減少という一企業ではどうしようも無いマクロ環境の変化もある時代背景をすっ飛ばして、この無責任かつ無邪気な「お前何とかしろよ」ってスタンス。この歩み寄りの無さってなんなんでしょうか。そんなに問題だと言うのならば自治体協議に入りゃいいじゃないか、と思う訳ですよ。

 根拠ないけど、体感的には今回の都知事選挙で「ジャーナリスト代表」の鳥越氏が落選したのも、こういう「問い詰める側にいた人が、当事者になると意外とご都合主義でした」という事に近いものを感じます。

 

❖どのぐらい痺れる経営状況なのか

 いかん、マスコミ批判に話が脱線してしまった。

今年開通した新幹線の時にもちょっと言及しましたが、JR北海道はほんとに厳しいんですよね。もはや八方ふさがりの状態かと。

takao-chitose.hatenablog.com

  上記のポストでも収益性について軽く触れてますけど、2014年度の線区別収支がこの発表に伴って公開されていたので見てみましたところ、

f:id:takao_chitose:20160802193719j:plain

小さいですね。。。。

 という事でデータだけ羅列したのがこの表。営業係数というのは、100円売上るのに必要なコストです。

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営業係数が全部100円以上という事は、、、

  • 全線で赤字。( 総額で400億円以上の損失 ) 
  • 最も儲かっている札幌圏 (人口193万の札幌市の他岩見沢、苫小牧などを含むので、札幌市の最新の人口統計から推定すると270~280万人程度の商圏)ですら赤字

 でもって、もうひとつとどめを刺すようなデータですが、上記のデータとともに公表されたのが以下の路線図。JR北海道による「平成26年度線区別の収支状況について」に入っています。

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 これ、JR北海道の路線図ですが細かくてよく分からないと思います。ポイントは色の散らばり具合だけパッとみて頂ければOKで、目につくのは赤と緑で書かれた駅。
 それぞれ、乗車人員 一日1名以下、乗車人員 一日10名以下という「極端にご利用の少ない駅」だそうです。JR北海道管内にある全453駅中、約3割が一日10名以下しか利用が無い、と。

❖じゃあどうする

 全線赤字で利用状況がこの状態である以上、どう考えたって事業として成立してない。設備のメンテナンスとかする余裕は無いですよ。だからといって事故起こしていい理由にはならないし、これまでの経営に問題が無かったとも言いませんが、まともなビジネスセンスがあればどう見ても無理ゲーですよ。

 「公共交通機関」であろうとするならば、到底、守る余力が無いのに、出来もしないない約束を運試しのように引き延ばすよりは、もう抜本的に見直した方がいいのは明らかです。 

 と言う事で、かつて北の大地で人生の一コマを過ごした者として北海道のピンチは見過ごせない。けど、大したこと出来ないので、道新 (北海道新聞の事です)を見習って無責任ではあるけど提案だけはしておきます。

  • 北海道をUber特区にする
    規制産業であるタクシー業界に破壊的な変革を促しているUberですが、分厚い既得権益の壁と戦っています。ここは、思い切って比較的営業係数の良好な地域を除いて特区として開放しましょう。冬場は農家の副収入として、また大都市圏に流出しがちな若年層の安易な就職先としても一定の効果が期待できるかと。
  • 線路を家畜輸送用途に開放
    北海道は農業王国であると同時に、交通死亡事故はワースト5には入らないものの平成26年のデータだと169人。2.16日に一度は発生している状況です。北海道の場合は夏場の観光客が単調な直線道路などが原因で起こす事故も多いのですが、冬のとっかかりと春先などは真冬より危ないこともあるので、ここはひとつ、軌陸車を導入して、家畜や乳製品など重量のある貨物の運搬や、宅配、長距離バスなどに線路を開放するというのはどうでしょうか? 冬場は除雪が必要ですが、なにせ線路だけにスリップ事故はだいぶ抑止できる気がします。
  • 夏季は自転車専用道路として活用する
    雪の無い季節に限定されますので、実質6月から9月が限度と思いますが、自転車専用道路にするというのはどうでしょうか。北海道をのんびり走るサイクリストたちにとっては、自転車だからこそ走れる特別な道路として人気が出るかもしれません。軌陸車のアイデアと発想が似てますが、ただでさえスピードが出やすい北海道の道路で車と自転車が並走するのは危険な時もありますので、アリじゃないでしょうか。駅はキャンプ施設として活用しても良いですし。

という事で、こういった冗談みたいなアイデアも含めてゼロベースで考えないと駄目じゃないの? という事だけはアピールしておきたいと思います。もうね、新幹線とか言ってる場合じゃないんだけど、今さら言っても仕方ないので、整理できるものは断捨離して、都市部の輸送と新幹線に資本を寄せた方がまだ道があると思いますぜ。