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「データを押さえれば勝てる」電通さんデジタル系分社化の話

 電通さんがデジタル関係の関係会社をまとめて分社化という話がこのところマーケティングとか広告界隈で話題となっています。(自分のタイムライン目測w)

 最初にニュースを斜め読みした時は、ここ数年、電通さんは配下のデジタル系の会社を飴細工よろしく「たたいて伸ばして」みたいな事を繰り返していたので、その一環程度に見ていましたが、今回はもう少し本腰が入っているようです。

business.nikkeibp.co.jp

 なかなかAgitationの効いた見出しです。記者の中村さんには以前に取材頂いたことがありまして、なかなか筋の良い方という印象でした。

 記事を読む限り、

  • フロントには電通営業ではなくコンサルが立つ
  • コンサルやプランニングでしっかりフィーを取れるようにする
  • マス広告とデジタルは分割する ( 代理店として総合的な柔軟性を担保するため)

 といった事を通じて、出遅れていたデジタル領域、とりわけ運用型広告を中心に、上流に向けてはコンサルから全体コミュニケーションプラン、マス広告、下流に向けてCRM、ECサービス、デジタル広告運用 (これ、現代の蟹工船の一つだと思うけどそれはまた別の機会に) といったところまでを網羅する戦略のようです。

 その時に、企業としての柔軟性を担保するために今回は分社化してみた、と。

 2013年のイージス・グループ買収以降、日本以外の売上も当然比率が上がってきている訳ですが、帳簿の中の国際化だけでは無く、戦略面でもグローバルの流れを吸収し始めての動きだとすると要注目だと思っています。

 ちなみに、2017年度に向けた経営計画として以下を掲げています。*1

目標とする経営指標

2017年度の数値目標を以下のとおり設定しています。

売上総利益のオーガニック成長率 3〜5%(年平均成長率)
売上総利益に占める海外事業構成比 55%以上
売上総利益に占めるデジタル領域構成比 35%以上
・調整後オペレーティング・マージン 20%以上

 こうした経営計画に即して、2015年決算では、海外事業構成比率54.3%、デジタル領域34%となっていますので、綺麗にオントラックですね。だからこその分社化で加速、という重要なマイルストーンなのだと推測できます。

 さて、これ系の話はこちらのポストでも言及したのですが、国内で比較的地位を確立していた総合デジタルサービス系は概ね買収された感じもしつつ、いくつか残っている独立系(上場組のトランスコスモスやネットイヤーグループ、メンバーズ、CAなど) と専業系(動画、PR、ソーシャルといったファンクション特化型の企業)については、この電通のストリームに巻き込まれない方が良いのか、巻かれた方がいいのか立ち位置が難しそうですね。

takao-chitose.hatenablog.com

 個人的には「データを押さえればコンサル領域は勝てる」という物言いにはダウトですので、コンサル勢力とどのように戦っていくのか楽しみであります。

 コンサル会社は上流もさることながら、オフィスサービスのアウトソースなんかを通じて結構、企業の中に入り込んでノウハウ取得していると思います。(アクセンチュアとか特に) こういう水面下の活動で企業のプロセスやカルチャーを飲み込んで上流で提案してくる事を考えると、自らを「広告代理」と名乗るはここで止めた方が良いと思います。

 

*1:電通IR情報より抜粋