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DIGIDAY : アドテクの大いなる「勘違い」を払拭せよ  につき

今朝気になった記事はこれ。

邦題はやや煽りが入っている感じですが、原題は The big lies of ad tech. 

digiday.jp

要約すると、

・アドテク業界は急拡大したけど、収益化への苦戦 、資金ショートなど窮地に立つ企業も増えてきたね。その背景にはいくつかの「勘違い (lie)」がある。

・意味や価値のある広告在庫は有限なのに、そこに注意を払わずにこれまで進んできた事。

・広告主が、ViewabilityとFraud を問題視している今日、板挟みになってその割を食うのは、間に入るプレーヤー達。

・ターゲティングにおいて1st party data が高精度なのは事実。ただし試算の目減りを防ぐために3rd party data の活用をしたくなるのは道理だが、現実には困難。(※ここの理由がいまいち示されてないのが気になるけど ) 潜在的ターゲット のデータ購入は、Proxy でしかない。

・現在のアドテク業界は文字通りのカオスであり、何と何がつながると良いのかが分からない状態である。本来は無駄を省いて効率化に寄与すべきテクノロジーが結果的に複雑で高コストな環境を引き起こしている。 ( これは、インプレッションは無限という根拠のない共同幻想によって加速された、というのがこの方の視点。) 

・KPIの設定の仕方が改めて重要で、Impression, Click, Conversionといったものは、Fraud の影響を受けている。だからKPIは達しているのに売上がついてこない、という課題に多くのマーケターが直面している、と。

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※コラムでは、「じゃどうする? 」に対する具体的な言及は無く、広告主、パブリッシャー、中間業者のそれぞれに対して曖昧に振っている印象を持った。つまり、

・具体的にどんなKPIを持てばよいのか、という広告主向けのアイデアは無い

・KPIの問題では無く、構造的な問題であるから、Fraud やViewability が進み、仮に在庫が劇的に減ったとしても、それを前提に再構築すべき。何故ならそれが結果的に広告主が求めるオーディエンスの醸成につながるから、といったものも無い。

 なので、少し消化不良ではあるけれど、実務的には納得感ある物言い。簡単に解決策は見当たらない、と捉えれば正直なコラムかもな、と思う。

 

ただし、このメタファーはちょっとどうかなぁ、と。

 Right now you can buy over 25 million individual cookies for a new car intender. This would suggest that over the course of a full year somewhere around 100 million new cars would be bought or leased in this country. In fact, that number will be closer to 10 million, a 10–fold overstatement of the potential universe. 

 

もっとわかりやすく説明しよう。現在、自動車の購入を検討している消費者の個別cookieを、四半期のタームで2500万以上購入できる。これはつまり、米国で1年の間に、およそ1億台の新車が購入またはリースされることを示唆している。しかし、実際の販売台数は、年間で1000万台程度であり、潜在的な購買規模に対し、10倍ものインフレを起こしているのだ。

 少なくとも以下の部分は考慮されるべき。

・自動車広告に接触した人が「潜在的購入予備数」と仮定する事の是非。

・累積Cookie 数が市場規模を上回ったとしても、それは単年度の話。既存の自動車保有者、購入とは別目的での接触者など、Cookie の状態は多様である点

・購入までのプロセスで考えれば、ある一定期間に獲得したCookieには、TAMレベルの人もいればPrime Propsect もいるはず。つまりFunnel のステージが異なるデータがある。

・そもそも「購入検討」を担保する事は出来ないはず。かつ、当該データマートに「すべてのデータがある保証もないはずで、10倍Cookieが多くても、Conversion が10%とすれば一般的なECの感覚でいけば悪くない。新古典派経済学的に需給曲線の交点を求めるような話では無いかな、と。

英語版でも似たようなコメントが入っていた。

"Overall a nice article but slightly tarnished by a flawed example related to "25 million individual…" — sketharaman http://disq.us/9467o4

 という訳で、Cookie の獲得総量と市場規模の単純比較はややミスリーディングだと思う。

 察するに、言いたいポイントは、デジタル空間での接触データの総量と、その市場の実売数の乖離ぐらいはしっかり認識した上で、足元のデジタル広告で得られる反響 (レスポンス) や売上との相関で見た妥当な露出量などを個極めていく事が大事なんだよね、と勝手に推測しています。

 

■蛇足■

 だとすると、広告主とパブリッシャーがExclusive に売上データまで連結させてしまうと、数多の中間業者はすます取り入る隙間が無くなる。

 いっそ、VCと企業とメディアを全部つないでダイナミックな資金調達が出来るようなエコシステムとか生まれたら面白いかも、なんて馬鹿な妄想してしまった。アマゾン、GoogleAppleMicrosoft なんかが銀行兼VC始めるあたりから。